自宅で使える趣味用CNCルーター メリット、デメリット

by | Feb 11, 2023 | CNCルーター | 1 comment

家庭でプロ並みの加工技術が手に入る!CNCルーター。
CNCルーターは、自宅で手軽に使える工作機械です。
趣味の範囲内であれば最も使い勝手が良い工作機械の一つと言えるでしょう。

なぜならば、CNCルーターは3Dプリンターと違い素材から形を削り出す、切削加工なので使用できる素材が多いからです。

例えば、木材、プラスチック、アルミなど、テーブルにセットできてアルミよりも柔らかい材質であれば加工できるでしょう。

しかし、購入を検討する際には、そのメリットとデメリットをしっかりと把握しておく必要があります。

現役工作機械メーカーに10年以上勤務し自宅でも工作機械で楽しんでいる私が、自分の経験をもとに、貴方におすすめのCNCルーターを提案します。

メリットやデメリットを把握した上で、自分の目的に合った機種を選択し、必要な知識や技術を身につけることで、CNCルーターを上手に活用することができます。

加工を楽しみながら、自分の作った製品を販売することで、副収入を得ることができたら楽しいかもしれませんね。

CNCルーターとは

まず、CNCルーターについて基本的なことを説明します。
私は、昔から金属加工工場で、本物のCNCマシンに触れてきたので工作機械に毎日触れていますが、最近興味を持ったばかりの人にとっては、わからないことがたくさんあると思います。

まずどんなものかをイメージできる様になりましょう。
また、CNCルーター似てる言葉でCNCマシニングセンターやCNCフライスなとがありますが、正確な境目はない様です。

ただ、CNCルーターは、木工でよく使われていたり、家庭用のCNCマシンという感じです。
CNCマシニングセンターやCNCフライスなどは金属加工の工場で使われているという感じでオートツールチェンジャー(ATC)がついている物が多いです。

私もいつか、ATCのついた卓上マシニングセンターを自作することを夢見ています。
ちょっと自慢ですが、ATCなしの5軸CNCマシンを自作しました。
興味のある人は私のこの動画を見て下さい。

CNCルーターの概要

CNCルーターは、コンピューター制御によって切削工具を動かし、様々な形状を切削する機械です。

切削加工とは、工作機械を使って材料を削ったり穴をあけたりすることで、部品や製品を作る加工技術です。

CNCルーターは、この切削加工機の一つであり、コンピューターによって制御されることで、高精度かつ複雑な形状を切削できます。

コンピューターで数値制御するために加工プログラムを作る必要があります。

3Dプリンターは、積層していくことで物を作りますが、切削加工は削ることで形を作っていくという違いがあります。

自動化された操作

CNCルーターは、切削工具の動きをコンピューターが制御するため、人間が操作する必要がありません。

そのため、作業時間が短縮され、作業者の負担が軽減されます。
この点は、3Dプリンターと同じです。

動作ささせるためにGコードというプログラム言語を使います。
私は、機械が動いている間、よく酒を飲みながら眺めて楽しんだり、他の工作をしたりして時間を有効に使っています。

一度プログラムを作ってしまえば、同じ物を量産することはとても簡単です。

高い加工精度
CNCルーターは、コンピューターによって制御されるため、非常に高い加工精度が得られます。
また、同じ形状を繰り返し切削することができるため、一定の品質を保ちながら効率的に生産することができます。

一般的には、この説明でいいのですが、家庭用のCNCルーターは、硬いものを削ったりすると抵抗が大きくて、ステッパーモーターが脱調して加工を失敗することがあります。

私は、硬い金属を加工することが多いので、いつもこの問題に悩まされています。

多様な形状の加工が可能
CNCルーターは、コンピューターによって制御されるため、様々な形状の加工が可能です。
たとえば、複雑な曲面や穴あけ加工など、手作業では難しい作業も簡単に行うことができます。

様々な素材に対応可能
CNCルーターは、様々な素材に対応することができます。
木材やプラスチック、アルミニウムなどの金属、銅板、アクリル板など、多様な素材に対応できます。

これは、3Dプリンターには無いメリットです。
3Dプリンターだけで物足りなくなる理由は、この点ではないでしょうか。
私がCNCルーターを買った理由はこれです。

CNCルーターのデメリット

CNCルーターは優れた工作機械ですが、いくつかのデメリットもあります。
以下に、CNCルーターのデメリットをいくつか紹介します。

コストが高い
CNCルーターは高度な技術と素材を必要とするため、製造コストが高くなっています。
そのため、安価なモデルは精度や信頼性に欠ける場合があります。

また、高性能なCNCルーターはプロ仕様の価格帯になるため、趣味で使用するには費用がかかることがあります。

CNCルーター本体意外にも、エンドミルやドリルなど、加工の用途や材料によって揃えるものもあるので、その分の費用も検討する必要があります。

精度の高いものを作りたいのであればノギスなどの測定器も準備する必要があります。
計測器は安いものから高いものまで色々有ります。

[clink url=https://www.acncf.site/lathes-cnc_routers-problemssolutions/]

学習が必要
CNCルーターを使うには、専門的な知識やスキルが必要です。
CAD(コンピュータ支援設計)やCAM(コンピュータ支援加工)など、専門的なソフトウェアを使用して、3Dモデルを設計し、Gコードと呼ばれる機械語に変換する必要があります。

これらのスキルを身につけるには時間がかかります。

オリジナルの部品を作るには自分で3Dモデルを設計する必要があります。
3Dモデルを設計するためのCADソフトは沢山有りますが、趣味で使うCADソフトなら、何も考えずに無料で使えるfusion360で決まりです。

非常に優秀なCADソフトです。

優秀なCAM機能もついています。(無料版は機能に制限あり)

メンテナンスが必要
CNCルーターは精密な機械であり、正常に動作するためには定期的なメンテナンスが必要です。

加工中にカッターが摩耗したり、バランスが崩れたりすることがあるため、これらを定期的に点検し、調整する必要があります。

また、切削液やチップの除去などの清掃作業も必要です。

CNCルーターを選ぶポイント

加工範囲とテーブルの大きさ
工作機械にスピンドルの先端が動ける加工範囲が決まっています。

それとは別にパーツを固定するテーブルの大きさがあります。
テーブルの大きさは、機械の加工範囲より少し大きいものが多いです。

なぜならば、素材を固定するためにクランプする必要があるからです。
例えば、150mm x 150mmのアルミプレートを加工したい時に、テーブルの大きさが同じ150mm x 150mmだとしたら、クランプするスペースがないのです。

加工範囲のとは別にクランプを取り付けることを考慮して機械をえら必要がありあます。

クランプの方法は色々有る加工する形によって違うので、でどのくらい余裕を持たせれば良いかは言えません。

機械の強度
なぜならば、素材を切削するということは、機械に負荷がかかることになり、負荷がかかった時、機械自体が変形して加工不要や騒音などいろいろなもんだいが起きるからです。

当たり前ですが、せっかく買ってきた素材を、時間をかけて加工プログラムを作って加工したけど、まともに削れなかったとなれば、時間と、お金の無駄になります。
何より、悲しい気持ちになる。

だから、機械の強度が重要なのです。
機械の強度を見分ける簡単なポイントとしては3つあります。

  • 必要以上に大きな機械を選ばないこと
  • フルメタルフレームの機械を選ぶこと
  • できるだけ、リニアガイドを使用している機械を選ぶこと

他にも有りますが、とりあえずこの辺を気を付けると良いでしょう。

おすすめCNCルーター

CNC 1310

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CNC 1310は、小型で高品質なCNCルーターです。
10mm厚の削りだしアルミパーツで構成されているので、中華らしくないという評価があります。

GRBLコントロールを採用しており、オフラインコントローラーも付属しています。金属やプラスチック、木材などの素材に彫刻や切削を行うことができます。

他のCNCルーターと比べると、CNC 1310はサイズが小さくても精度が高く、安定した動作が期待できます。
また、組み立てや操作も簡単で、初心者にもおすすめです。

私も、このCNCルーターを購入しました。
非常にコンパクトな点と、全体的にバランスが取れていて見た目が良いからです。

機械が小さいので加工範囲が小さいですが、その分、各軸のリニアシャフトが短いの強度が高いです。
私の場合、色々他改造したくなるので、鋼材が加工できるように改造しました。

改造した時の動画はこれです。
各軸のリードスクリューナットを強化して、スピンドルを改造しました。

CNC 1310 Liner Guide

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最初に紹介したCNCルーターと似ていますが、この機械は、各軸のガイドとして、リニアガイドを使用していますが、前に紹介した機械はリニアシャフトを使用しています。

何が違うかというと、リニアシャフトの場合、リニアシャフトの両端部分がフレームに固定されていて、そのシャフトをガイドとしてリニアブッシュが動きます。
つまり、機械の強度は、リニアシャフトの太さと長さに依存することになります。

リニアガイドの場合リニアガイド片面全体をフレームに固定するためフレームの強度が機械の強度と言えるでしょう。

私が、なぜこのCNCルーターを購入しなかったかというと、買ってから、このCNCルーターの存在に気づいたからです。

一点、気になるところは、リニアガイドを使っているところはとても魅力的ですが、各リニアガイドに通常2つのリニアブロックがついています。これは、長い距離でサポートした方が強度的に有利だからです。
しかし、この機械には、一本のリニアガイドに対して1個のリニアブロックしかありません。
果たして、強度できに、リニアガイドのメリットをどれだけ出せるのかは疑問です。

しかし、そのデメリットを考えても、今買うとしたらこちらのタイプを選ぶと思います。
私の場合、気に入らなかったら改造することが前提ですけどね!

Genmitsu 3020-PRO MAX CNC

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このCNCルターも、フルメタルフレームで少し大きめで、XYZ 作業エリア300 x 200 x 72mmの機械です。
特徴としてX軸にリニアガイドを採用しています。
通常家庭用のCNCルーターではリニアシャフトを採用していますが、リニアシャフトは両端のみがフレームに固定されているので大型の機械になると中心部でのリニアシャフトのたわみが大きくなり強度部族となり、加工精度の低下や騒音、ツールの破損などの問題を引き起こします。

特にX軸は、Z軸のベースになる軸なので、その影響は大きいです。
その問題を解消するために、両端だけの固定ではなく全体をフレームに固定できるリニアガイドを使用していると考えます。これは、非常に魅力的です。

また、XY軸にリミットスイッチもついているので機械原点設定も可能でしょう。

スピンドルモーターの固定も、外周をクランプするタイプで高さも調整可能です。
スピンドルのトルクに不満があれば、アップグレードもできます。

機械のサイズが大きいという点に関しては、メリットと感じる人とデメリットと感じる人がいると思いますが、私の作業環境では、少し大きすぎます。
しかし、スペースに余裕があれば、このCNCルーターを購入していたでしょう。


まとめ

CNCルーターは、3Dプリンターと違い材料の制限が少ないというメリットが非常に大きいと思います。
加工精度が高い点も大きなメリットでしょう。

デメリットとしては、加工に関する専門知識やCAD、CAMを使いこなすための勉強が大変ということだと思います。
しかし、工作を楽しむということは、必要な知識を集めることも楽しめると思います。

もし、CNCルーターは、自分にはちょっと無理だと思う人は、まず3Dプリンターから始めるといいと思います。

[clink url=https://www.acncf.site/3d-printer-basics/]